渡辺淳一の打ち切り小説について

図書館に寄って週刊新潮を立ち読みしたら(先週発売されたもの)、渡辺淳一が連載エッセイで、地方紙に連載していた小説が突然打ち切りにされてしまった、事情の説明もなされないまま、勝手に「終わり」と表記されて、そのまんま終わった、書いていた。これは四国新聞にも連載されて、中途半端に終わったのでどうしたのかと思っていたのだけれども、一部読者から激しい抗議が来たせいで、編集部が止めると決めてしまったのだそうである。老年期に入り、自然の成り行きとして不能が常態となったことを自覚した医師が、それでもなお女性と性愛関係を保とうとするおはなしで、私はこれはまた話題になって映画化されたりするんじゃないかと思っていたのだが、反発も大きかったのですね。渡辺先生は、主人公と同年輩の男性や、中高年女性読者からは、応援のお便りもたくさんいただいたのだが、と、困惑していた。谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』にくらべれば、主人公は穏当で健康的な常識人なのだが、それだけに、一部の読者には生々しすぎたのだろうかね。私は老年になったら老年の男の話をちゃんと書こうとする渡辺淳一はかっこいいと思いましたが。