事件直後のフランスは興奮しているから、などと書いたりしつつ、日記を見返すと自分も事件ニュースで見てからけっこう舞い上がってたんじゃないかと反省しております。デモ参加者の多くはなによりもまず「テロに抗議」という気持ちが強かったのだろうし、オランド大統領の対応もとにかくイスラム系移民が襲撃されたりしないように市民に一体感を持ってもらいたいというのがあったからなのでしょう。ニュース見ただけの遠国の者があれこれ言うようなことではないわね。
私としては、この事件で「表現の自由」というのが掲げられたのを知って、脳裏に近年の日本での出来事、在特会や『嫌韓流』、週刊朝日による橋下徹のルポ、森美術館問題、大橋仁やろくでなし子などのことが次々によぎり、現在の日本で持ち出され使い回される「表現の自由」はどうなっているのだろうな、というのがずっともやもやとしていてね。そこに異国の事件のニュースがひっかかてきたんですね。
森美術館問題についてはこれまでにも日記に書いております。http://d.hatena.ne.jp/nessko/20131221/p1
この問題についてまとめた本も出ておりますので、ぜひ読んでもらいたいです。
- 作者: ポルノ被害と性暴力を考える会,イダヒロユキ,梅山美智子,岡野八代,角田由紀子,西山千恵子,前田朗,宮口高枝,宮本節子,森田成也,横田千代子
- 出版社/メーカー: 信山社
- 発売日: 2013/09/10
- メディア: 単行本
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追記 シャルリエブドへの抗議の声にも注目を!
AFP:イスラム最高権威、仏紙風刺画を批判 「憎悪かき立てる」 http://www.afpbb.com/articles/-/3036448
四国新聞:仏週刊紙発売に反対表明/ジャーナリスト団体 http://www.shikoku-np.co.jp/national/international/20150114000229
付記 最新号の表紙ですが
マンガだから見方次第でいろいろ読み取れるようになってるんだけれども、私には「サーッセン♪(テヘペロッ)」「やめないよ〜ん♪ケケケ」といってるように見えましたよ。生温かく見守ってもらえる「不屈の風刺精神」、すごいですよねえー(棒読み)
他にやりようがない人たちに何を期待しても無駄なわけだけれどもね。
怒られそうなことをあえて言うけど、シャルリならわかってくれるだろ? わかってもらえなくてもけっこう、言うよ!
悪いことはわかっててそれでもあえてやったのは、銃撃した若い衆も同じでしょう。だから警察に追われて射殺という結果になっても、したことが犯罪行為だから文句はいえないと私も思いましたよ。
でも私には、とくにあの兄弟二人はボニーとクライドみたいに見えた。
警察に射殺された犯人だって、普段つきあってた友人や知り合いには「いい人」だった筈。彼らに殺されたマンガ家が身内から見れば「ほんとうはいい人」だったのと同じ程度にね。
追記その2 最新号の表紙描いたマンガ家の弁が朝日に
ルジエさんは最新号の表紙に、涙をこぼすイスラム教の預言者ムハンマドを描いた。「笑わせられるイラストにしようと思った。すると、代表作のムハンマドが浮かんだ。いつも私を笑わせてくれるやつだ。そして、『私はシャルリー』を思いついた。彼は『本当にごめんなさい』と泣いていた。描き終えて、私も泣いた」と話した。
新聞社襲撃事件の容疑者については、「ちょっと距離を置いて世界を見る。それがシャルリーだ。彼らはその心を失っていた」と同情的な見方を示した。
http://www.asahi.com/articles/ASH1G01DPH1FUHBI03J.html
私には全然ちがった印象で見えたあのマンガ、お描きになった方はこのようなお気持ちだったのですね。購読者の大半が非ムスリムなのだろうなと推察いたしました。
描いてるうちに笑いがとまらず、やってやるぜこのやろーという気分で絵筆を奮いました、と言ってくれればまだ寛容になれましたが、これはもうだめやね。どんだけ独善的やねん。勝手に逝け。