共謀罪 参考人質疑

本日の四国新聞より

共謀罪」拡大解釈に懸念 参考人、恣意的運用にも 衆院法務委
殺人など重大犯罪の実行行為がなくても謀議に加わるだけで処罰可能な「共謀罪」新設を柱とした組織犯罪処罰法などの改正案は、衆院法務委員会で大詰めの審議を迎えている。与党側が早期採決を視野に入れる中、9日開かれた参考人質疑では、捜査当局の「恣意的運用」への懸念や「拡大解釈」の可能性といった問題点があらためて浮き彫りになった。
「社長の自宅まで行って交渉を継続しようと(組合員の間で)あらがじめ合意、確認したことが組織的な監禁の共謀罪にされる可能性がある」
参考人として出席した連合の高橋均副事務局長は、中小企業で労働組合を結成し労使交渉を進める場合、経営者を追いかけて交渉を求めるケースが少なくないことを紹介し、こうした場合でも共謀罪が適用される恐れを指摘した。
一方、いったん成立した後、共謀罪が拡大解釈されることの危険性を強調したのがジャーナリストの櫻井よし子氏。個人情報保護法の施行後、本来なら社会が共有する情報まで隠されているとの認識を示し「法案を作るときにこのような事態になるとは考えなかった」と強調。「共謀罪を安易に導入した後、どこまで(適用範囲が)拡大するかは誰も責任が持てない。歯止めをかけられる法的装置を盛り込むべきだ」と提言した。
実行前に自首した場合、刑が減免される規定があることにも警戒感が示された。高橋氏は「労組内部の情報を逐一会社に報告するスパイのような者が出てくる。密告の奨励は日本の法文化になじまない」と述べた。
これに対し、藤本哲也中央大学教授は「組織犯罪に対抗するため、共謀段階から処罰するのは現代における刑事法の世界標準だ」と強調。対象犯罪を「5年を超える懲役・禁固」と与党案よりも絞り込んだ民主党の対案は条約に違反し「国際的に相手にされなくなる」として政府案、与党修正案に理解を示した。
(四国新聞2006年5月10日)

「国際(的)」とか「世界標準」とか言われるとうさんくさいムードが漂うように既になってしまっていると思うのですがね。
サンデー毎日2006年5月21日号でも共謀罪が取り上げられていますので、ぜひ買って読んでみてください。81年前、若槻礼次郎内相が治安維持法案について次のように説明したそうです。

「最も国家社会に害毒のある者を取締まらうと云ふのであります。(中略)思想の上に於て何等抵触することの無い事柄と信じて居ります」
(サンデー毎日2006年5月21日号 p35)