切り絵作家 寒川幹子「幹子の物語世界展」

寒川幹子さんの個展。妹の恵子さんの水彩画、その同級生の清水景子さんの水彩色鉛筆画も出品。
今回は物語をテーマにした作品が集められており、「吉野の静御前」「牛若丸と弁慶」「シンデレラ」「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」など、童話や日本の神話の世界が楽しめる。切り絵のタッチが力強く、そこに透明感があり鮮やかな色が加えられて物語の世界の中から声が聞こえてきそうだった。「桃太郎」では、船に乗って鬼ヶ島へと向かう桃太郎と犬、猿、雉、そして海の波間から跳ね上がった魚が描かれていたが、勢いのある波の動きと雲が漂う鬼ヶ島の不穏な雰囲気、そしてその鬼ヶ島にこれからのりこもうとする桃太郎と犬猿雉のそれぞれの表情が生き生きと伝わってくる。船の中でいろいろ喋ってるのが聞こえてきそうだ。「八十場の清水」の浜に打ち上げられた巨大な魚のぐったりした顔もリアルに迫る。「風の又三郎」は、世評が高い童話なのだが私にはこれまでいまひとつぴんとこない物語でしかなかった。でも、寒川さんの切り絵を見て多くの人が言うその素敵さがやっとわかったような気がした。ああいう風に又三郎はかっこいいんだなと。
去年の展覧会で「蛙遍路」シリーズのファンになっていたのだが、今回もいくつか見られた。いい。モノクロもこちらの想像力をかきたてるのですね。
花や風景の水彩画は色がやわらかくてきれい。色鉛筆水彩画では小さなクマのぬいぐるみ二体をモデルにしてあって、クマたちがおはなししているような光景が描かれていた。うちにも似たようなミニクマがいます。
「幹子の物語世界展」丸亀市天満町 さんがわ呉服展にて 明日21日まで