ひとりぼっちのへびのこ

『おおきなポケット』2010年1月号より。
「ひとりぼっちのへびのこ」文:石井睦美、絵:平岡瞳
木のうろの中で目を覚ました時、へびのこはひとりぼっちでした。木のうろから出てみるとそこはリスさんの家の庭。リスさんの姿に気がつきましたが、へびのこはなかなか声をかけることができません。リスさんはいつも歌をくちずさんだりして楽しそうです。
ある日、家の中からいい匂いがしてきます。何だろうと覗き込んだへびのこは、リスさんがケーキを焼いているのを見ました。リスさんもへびのこに気がつき、声をかけてくれました。ちょっとどきどきしながら、へびのこもリスさんにあいさつします。
リスさんは、へびのこを、ともだちといっしょに行くピクニックに誘ってくれました。
作者の石井氏は、小学生の頃転校した時のことを思い出しながらこの本を書いたそうです。
へび、と書いてあると、まずこわいかんじがしたりするんですけれども、へびのこ、と書かれてあると、かわいらしさをかんじますね。へびのこ、初めて見たことばなので妙な先入観がないからかな。それと、絵をいっしょに見てるから。
この絵がまたいいんです。版画なのかなと思うんですけどね。全体に落ち着いた優しい色合いでまとめられていて、なかよしの動物たちがピクニックにあつまる和やかな天気のいい日の光景が、見ているこちらまでほのぼの楽しい気持ちにさせてくれます。