モリヤマハルカ『ニューヨーク発 最強英語発音メソッド』クロスメディア・ランゲージ

 

まず、「はじめに」から、一部引用。

発音の習得に、耳の良さも年齢も関係ありません。歌が苦手でも、バイリンガル育ちでなくても、若くなくても、しっかりマスターすることができます。

必要なのは

1)「日本語連動筋」を使わない口の開け方を知り

2) その開け方のまま英語発音を学ぶ

それだけです。そうすれば大人でも簡単に、正しい英語発音を学べます。「筋トレ」が作る日本語と、「スライド」が作る英語、皆さんがその本質的違いを知り、発音コンプレックスを解消するお手伝いができれば、幸いです。

 

本書の対象読者

日本語を第1言語とし、英語発音に日本語訛りを持つすべての人、特に英語発音の初中級者を対象としています。

 英語の発音練習の仕方を教えてくれる本です。そして、これはすばらしいですよ! 革命的といってもいいくらいです。これまで、日本語にはない英語の音を発音しようと四苦八苦していた方、ぜひ読んでみてください。

 著者のいうスライドメソッドですが、まず、最初に、英語向けの口のかまえを作ります。かまえ、といいますが、あごをふんわりとゆるめ、下の力を抜く、日本人にとっては口の(英語を話す際には)無駄な緊張を取り除き、英語を発音するのに力むことなく自然に口が動く態勢に入るということになります。

 やり方はくわしく本に出ているので、それに従ってやってみてください。この口になるのを「スライド」と読んでいますが、実践してみると、口元が赤ちゃんぽくゆるみます。ふんわり脱力した口元になります。それから舌も脱力させます。

 そして発音練習となります。あごと舌の力を抜いて、これが基本です。ゆるふわ状態のあごと舌、そこから解説にしたがって発音練習してみてください。おおっと自分でもびっくりするほど口が自然に動いて英語の発音ができますよ。

 英語は日本語にはない音があるからがんばって発音しなきゃ! と力みがちだった人にとっては、まさに革命的な一瞬が体感できます。

 アマゾンのレヴューを読むと、著者が説明に用いているたとえがわかりにくいというタイプの人たちがいるようですが、まずスライドであごと舌の力を抜いて、そしてそのゆるふわな口で、著者の説明(たとえがわかりにくいなら最初はそこはとばして、舌などの動かし方は書かれていますからそこだけ着目して)に沿って発音してみてください。何回か発音をしてみると、著者がたとえによって伝えようとしている状態が自分で分かってくるでしょう。

 この本で扱っているのはアメリカ英語の発音ですが、日本語話者にとってこのスライドメソッドであごと舌の力を抜き口を動かしやすくするというのは、他の外国語の発音で苦戦している人にも効果があるでしょう。私はいまフランス語とアラビア語も勉強中ですが、少なくともフランス語とアラビア語の発音においては効果がありました。口がなめらかに動くようになり、また、舌の動き、動かせ方に意識的になれて、そのためフランス語やアラビア語の発音の際の舌の動かし方も分かってきました。

 外国語学習中の人なら実感していることですが、発音と聞き取りには強い相関があります。自分で発音できる音は聞き取れるようになりますし、聞き取れるようになると発音の仕方もわかってきます。発音練習をして口が動くようになると、しゃべっている人の口の動き、とくに舌の動きがわかるようになり、それがはっきりと言葉が聞き取れることにつながっていくのです。

 そして、聞き取れるようになると、読み書きの勉強もらくにできるようになります。

 モリヤマハルカ先生が著書でおっしゃっているように「英語を学ぶなら、発音を第一優先にすべき」というのは真理です。

 佐伯智義『英語の科学的学習法』講談社も、英語学習者にとってはよむべき本のひとつですが、佐伯先生も「英語学習はまず発音から始めるべき」といい、そして発音の指導を受けるのなら、日本人がなぜうまく発音できないのか理解し、どう直せばできるようになるかがわかっている人、英語の発音の理論を日本人に向かって伝えられる先生からが望ましいと述べています。

 この本の著者・モリヤマハルカは、それができる先生ですね。

 英語学習中のみなさん、ぜひ読んでみて!